2010年の3月中旬、宮崎市内の生垣の下藪で、細い繊細な葉を地面に這うように広がって生えている植物を見つけました。
初めて見る草で、小さな花をつけています。
葉は、メリケントキンソウやシマトキンソウによく似ていますが、花が違い、名前が分かりません。
メリケントキンソウやシマトキンソウは、『日本の帰化植物(平凡社)』に詳しく記述されているので、これらの近縁種を調べてみると、それらしい候補種として、マメカミツレやキレハマメグンバイナズナなどが浮かびました。
さらに、それらの近縁種を調べたところ、カラクサナズナ(別名カラクサガラシ)であることが分かりました。
カラクサナズナは、南アメリカあるいはユーラシア原産とされる帰化植物で、飼料用の作物にまぎれて侵入したものといいます。
茎・葉には悪臭があり、牛が食べると、乳が臭くなって商品価値がなくなるといわれる害草だそうです。
カラクサナズナを撮影した場所は、市街地の生垣の下藪でしたので、牛に食べられる虞れはありませんが、乳牛飼育上、非常に危険な害草であることは、既に畜産関係の研究機関では、大きな関心を持って対応が検討されているようです。
畜産県である本県の田園地帯にこの害草がはびこらないことを念じ、また、関係者がこのホームページを見ていただく機会があるよう期待する次第です。
なお、このカラクサナズナは、インチンナズナ属とする説と、マメグンバイナズナ属とする2説があるようです。
ここでは、『原色牧野植物大図鑑』 に従って、インチンナズナ属としています。
【カラクサナズナ(原色牧野植物大図鑑から)】
ヨーロッパ原産の帰化植物。
1年草、または2年草。
全体に独特の臭気がある。
高さ10〜30cm。
茎には、白色で多細胞の軟毛がまばらに生える。よく分枝する。
根生葉は、線状長楕円形,羽状に全裂,側裂片は4〜6対。
茎葉の側裂片は3対,まばらに毛がある。
花は、初夏から初秋。根生または茎葉に対向する総状花序につけ,径1mm。
花弁は皮針形で白色。がく片は卵形で黄緑色。
カラクサナズナ アブラナ科 インチンナズナ属 別名 インチンナズナ、カラクサガラシ
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